ピンポーン。
「配送業者でーす! こちら、お荷物20個になります。どこに置きましょうか?」
「え? 20個?」
入り口に向かうと、そこには台車2台に積まれたダンボールの塔。
宛名は間違いなくウチの会社。品名は……「コピー用紙 A4」。
発注履歴を確認する手が震える。
昨日、急いでいた私は「2箱」欲しかった。でも入力欄に入っている数字は「20」。
数量の単位が「個」なのか「セット」なのか「箱」なのか、確認しないままエンターキーを押した記憶が蘇る。
狭いオフィス通路を塞ぐダンボールの壁。
社長が出社してくるまで、あと30分。
隠す場所なんてない。返品できるのか? 送料は? 始末書か?
今回は、そんな「誤発注(桁間違い・型番間違い)」をやらかしてしまった直後の緊急対応と、二度と「単位」に騙されないための鉄壁の防御策を解説します。
1. 緊急対応:絶対に「開封」するな!
ダンボールの山を前にして、パニックになって「とりあえず中身を確認しよう」とカッターナイフを取り出していませんか?
ストップ! その手を止めてください!
発注ミスのリカバリーにおいて、最大の分かれ道は「未開封か、開封済みか」です。
未開封なら「返品」の交渉権がある
Amazonビジネス、アスクル、モノタロウなど、多くの法人向けECサイトは、「お客様都合の返品」でも、未開封なら受け付けてくれるケースが多いです(※送料は自己負担になることが多いですが、商品代金全額負担よりマシです)。
しかし、一度でも箱を開けてしまうと、「使用済み」とみなされ、返品不可になる確率が跳ね上がります。
配送業者さんが帰った後でも構いません。絶対に箱を開けず、まずはカスタマーサポートに電話(またはチャット)してください。
「申し訳ありません、発注数量を間違えてしまいました。未開封のまま保管しているのですが、返品させていただけないでしょうか?」
この一本の電話が、あなたの給料(損害賠償)を守ります。
もし「受注生産品(名入れなど)」だったら?
社名入りの封筒や、特注のノベルティの場合。
残念ながら、返品は100%不可能です。
この場合は、速やかに上司に報告し、「今後5年間は封筒を買わなくて済みます!」とポジティブに(冷や汗をかきながら)プレゼンする腹を括りましょう。隠蔽して倉庫の奥に押し込むのが、一番の悪手です。在庫は必ず決算でバレます。
2. なぜ「桁間違い」は起きるのか
自分を責める前に、敵の罠を知りましょう。
発注ミスは、あなたの注意不足ではなく、UI(ユーザーインターフェース)の罠です。
- 「単位」のバラつき
あるサイトでは「1 = 1個」なのに、別のサイトでは「1 = 1箱(10個入り)」だったりします。 - 「0」の連打
テンキーの「0」の隣に「00」キーがある電卓やキーボードを使っていませんか? 勢いで押すと、10個が1000個になります。 - 「型番」の酷似
TONER-350 と TONER-3500。見た目は兄弟ですが、適合するプリンターは他人です。
これらを「気合」で確認しようとするのは無理です。人間は疲れると、見たいように数字を見る生き物だからです。
3. 再発防止策(デジタル):フォームに「リミッター」をかける
ECサイトの画面で直接入力するから間違えるのです。
一度、社内の「発注申請フォーム」を挟むことで、システム的にミスを防ぎましょう。
Googleフォームで「上限」を設定する
例えば、Googleフォームで発注依頼を受ける際、以下のような設定(バリデーション)を行います。
- 回答の検証機能を使う
「数量」の質問に対して、「数字」「10以下」という条件を設定します。 もし誰かが誤って「20」と入力しようとすると、「発注数の上限は10です。それ以上は要相談」というエラーメッセージが出て、送信ボタンが押せなくなります。
たったこれだけで、「0」の押しすぎによる大量発注は、物理的に不可能になります。
プルダウン形式にする
「数量」を自由入力(テキストボックス)にするからミスが起きます。
「1」「2」「3」「5」「10箱(要確認)」 というプルダウン(選択肢)にしてしまえば、そもそも「100」という数字を入力することすらできません。
自由を奪うこと。それが安全への近道です。
4. 再発防止策(アナログ):指差し確認と「バディ制」
システム化が難しい場合は、アナログな運用でカバーします。
「バディ制」でダブルチェック
発注ボタンを押す前に、必ず隣の席の人(バディ)に画面を見てもらいます。
「これ、ポチるよ?」
「OK、宛先よし、数量よし、金額よし!」
自分一人では「100」が正しいように見えても、他人の目には「え、多くない?」と違和感として映ります。
この「承認の儀式」をルール化するだけで、ミスは激減します。
備品棚に「写真」を貼る
型番間違いを防ぐには、文字ではなく「画像」で照合するのが一番です。
備品棚のトナーの置き場所に、そのトナーの箱のカラー写真を貼り、大きく型番を書いておきます。
「空き箱」を手元に持ってきて、画面の型番と「絵合わせ」をしてから発注する。
原始的ですが、これが最強です。
5. まとめ:失敗は「倉庫」を圧迫するが、経験は「知恵」になる
大量の在庫を抱えてしまった今日、あなたは絶望しているかもしれません。
でも、もし返品が間に合えばノーダメージ。もし返品できなくても、それは会社にとって「ヒューマンエラーの恐ろしさ」を学ぶための授業料です(ちょっと高いですが)。
今回の冷や汗を教訓に、発注フローを見直しましょう。
- 「ウチの発注、まだ電話やFAXでやってるから履歴が残らない……」
- 「ECサイトがバラバラすぎて管理できない」
- 「Googleフォームで『上限付き』の発注ツールを作りたいけど、やり方がわからない」
そんな悩みがあれば「うしろぽっけ」にご相談ください。
私たちは、あなたの会社の「購買部」のふりをして、最適な発注管理の仕組み(スプレッドシート連携の自動発注ツールなど)をご提案します。
もう二度と、配送業者さんの「これどこに置きます?」という困り顔を見たくないあなたへ。
ダンボールの山に埋もれる前に、私たちを頼ってください。
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