マニュアルを作るとき、あるいは更新するとき。
「前任者が作ったものが横型だったから」
「会社に縦型のテンプレートがあったから」
そんな風に、ずっと続いてきた形をそのまま受け継いでいることは少なくありません。
けれど、日々の業務の中で、ふとした瞬間に小さな疑問が頭をよぎることがあります。
- 「マニュアルを開くと、肝心の作業画面が隠れてしまって、何度もウィンドウを切り替えているな」
- 「スマホで手順をひと目見たいだけなのに、画面を左右に動かさないと文字が読めないな」
- 「上から下へと流れるフロー図を説明しているのに、ページをめくる(横に動かす)動作が入るのは不自然じゃないかな」
それは、決してあなたが不器用だからではありません。
仕事のやり方や、使っている道具、あるいは「いつ、どこでマニュアルを見るか」という環境が、少しずつ変わってきたサインなのだと思います。
長年続いてきた「縦か横か」という形式。そこに生まれた「ふとした疑問」の正体を探っていくと、今の現場にとって本当にストレスのない、新しいマニュアルの形が見えてくるはずです。
「昨日までは気にならなかったのに」の正体
その「ふとした疑問」は、私たちが仕事をする「姿勢」や「道具」が、以前とは変わってきていることから生まれています。
モニターという「限られた土地」の奪い合い昔はマニュアルを印刷して、キーボードの横に置いて作業をすることが当たり前でした。視線は「手元の紙」と「前方のモニター」を上下に往復していました。
けれど今は、ペーパーレスの流れもあり、モニターの中で作業画面とマニュアルを並べて表示することが増えています。
そうなると、モニターの中は一気に「土地不足」に。横型マニュアルを横に並べると、文字が小さくて読めない。かといって重ねると、作業画面が見えない。この「ウィンドウの重なりを調整するだけの無駄な時間」が、小さなストレスとして積もっていくのです。
脳が描く「流れ」とのズレ
業務には必ず「流れ」があります。特にバックオフィスの仕事は、誰かが動いて、次に自分が動く、という川の流れのようなものです。
最近は、その流れを「縦方向の図(フロー図)」で見ることが増えました。
それなのに、解説を読むために「横」へページをめくる。この、脳が認識している「縦の流れ」と、マニュアルの「横の動き」のわずかなズレが、「なんだか使いにくいな」という違和感の正体かもしれません。
「確認」は、もはやデスクの上だけじゃない
移動中や、ちょっとした待ち時間に、「あの手順、どうだったっけ?」と確認したい瞬間があります。
そんなとき、ポッケから出すのはPCではなくスマホです。横型で作られたPDFをスマホで開いた時の、あの「左端から右端へ指を何度もスライドさせる」作業。
ガッツリ読むためではなく、不安を消すためにサッと見たいだけなのに。その「サッと」ができないもどかしさが、従来の形式への疑問を加速させています。
現場のストレスを削ぎ落とす、マニュアル構成の考え方
「ふとした疑問」を解消し、バックオフィスの実務を止めないためのマニュアル構成には、いくつかの現実的なポイントがあります。
1. 「視線の往復」を最短にするレイアウト
バックオフィスの仕事は、数字の転記や情報の照合など、画面を注視する作業が中心です。
- 縦型(スクロール型)の活用
業務フローが縦に流れているなら、解説もそのすぐ下に配置します。ページを「めくる」動作をなくし、マウスのホイールひとつで情報の全体像と詳細を行き来できるようにします。 - 2カラム(左右分割)の検討
PCモニターでの作業がメインなら、あえて左側に手順、右側に操作画面のキャプチャを固定するなどの工夫で、ウィンドウを重ねるストレスを減らします。
2. 「辞書」としての検索性を高める
マニュアルは最初から最後まで読み込むものではなく、詰まったときに「答え」を探すための道具です。
- 見出しの具体性
「〇〇の操作について」という抽象的な表現ではなく、「振込データが出力できないとき」といった、現場で発生する具体的な「困りごと」を見出しにします。 - 情報の階層化
まず結論(入力すべき項目など)を一番上に書き、補足や例外ルールはその下に置く。バックオフィスの忙しい担当者が、必要な情報に最短距離で辿り着ける構造を作ります。
3. 閲覧環境に「マニュアル側」が歩み寄る
「縦か横か」という固定された枠組みから一度離れてみることも大切です。
今はWebブラウザでマニュアルを共有することも増えています。PCで見ればPCの画面幅に、スマホで見ればスマホの幅に、自動で中身が整列する(レスポンシブ)仕組みを取り入れることで、「スマホで見づらい」というストレスは根本から解消されます。
バックオフィスの「隠れたコスト」を減らすために
マニュアルの構成を整えることは、単なる資料作りではありません。
「あのマニュアル、どこだっけ?」「この図が見づらいな」と、担当者が立ち止まってしまう数秒間。それが積み重なって、チーム全体の業務スピードを削っています。
この「隠れたコスト」を、構成の工夫ひとつで削ぎ落としていくのが、バックオフィスにおける本当の業務改善です。
「もともと横がデフォルト」という強力な刷り込み
そもそも、私たちがこれほど「マニュアルは横」という感覚に縛られているのは、ビジネスソフトの多くが「横」をデフォルトに設定しているからかもしれません。
パワーポイントを開けば、最初に出てくるのは真っ白な横長のスライド。
「資料を作る=横向きの画面を埋める」という作業が、もはや無意識の習慣になっています。
だからこそ、そこから外れて「縦」で作ろうとするのは、少し勇気がいることです。
「これでいいのかな?」「手抜きだと思われないかな?」という不安。
でも、そのデフォルトの枠を一度取り払ってみることで、驚くほど現場の動きに馴染むマニュアルが生まれることもあります。
実際にマニュアルを「縦」に設定する操作手順
「いつも横で作っていたけれど、今回は縦で挑戦してみよう」と思った際の設定方法を、よく使われるツール別に整理しました。
1. PowerPoint(パワーポイント)の場合
プレゼン資料のイメージが強いパワポですが、マニュアル作成にもよく使われますね。
- 上部メニューの[デザイン]タブをクリックします。
- 右端にある[スライドのサイズ]から[ユーザー設定のスライドのサイズ]を選択します。
- ダイアログボックスが表示されるので、[スライド]の項目にある[縦]にチェックを入れて[OK]を押します。
- 「コンテンツのサイズに合わせて調整しますか?」と聞かれたら、新規作成ならどちらでも構いませんが、既存の図形がある場合は[サイズに合わせて調整]を選ぶと崩れにくくなります。
2. Word(ワード)の場合
文章がメインのマニュアルなら、最初から縦の設定になっていることが多いですが、念のため確認手順です。
- 上部メニューの[レイアウト]タブをクリックします。
- [印刷の向き]をクリックし[縦]を選択します。
- (応用)もし一部のページ(大きな図解など)だけを横にしたい場合は、[区切り]から[次のページから開始]を入れ、そのページだけ[印刷の向き]を[横]に変えることも可能です。
「縦」にする際、ここだけは注意してほしいポイント
設定を縦に変えた直後は、今まで横に並べていた画像や文字がはみ出したり、余白が目立ったりすることがあります。
- 余白の設定: 縦マニュアルは、左右の余白を少し広め(20mm〜25mm程度)に取ると、文字が詰まって見えず、読みやすくなります。
- フォントサイズ: 横型よりも一行の文字数が減るため、フォントサイズを1ptほど小さく調整すると、全体のバランスが整いやすくなります。
「形」の先にあるバックオフィスの平穏
「マニュアルを縦にするか、横にするか」。
この論争に、唯一絶対の正解はありません
けれど、これまで「横が当たり前」だと思って疑わなかったルールに疑問を持ったあなたは、それだけ現場の「使いにくさ」に敏感で、仲間の作業を楽にしようとしているということです。
マニュアルは、完成させることがゴールではありません。
それを見た担当者が、迷うことなく作業を終え、定時にパソコンを閉じられること。
そのために、今の自分たちの環境に一番しっくりくる形を、柔軟に、少しだけ勇気を持って選んでみてください。
「うしろぽっけ」も、そんな現場の試行錯誤を、機能と業務デザインの両面から全力で支えていきたいと考えています。
マニュアル作成に
関するご相談
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うしろぽっけでは、現場の目線に立ったレスポンシブなマニュアル作成や、運用のご相談を承っています。
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