「デジタル化(DX)を進めれば、仕事が楽になるはずだったのに。」
新しいシステムを導入した現場から、そんな溜息が漏れることがあります。
ツールは魔法の杖ではありません。
箱(システム)の中に流し込む「中身(業務のルール)」が曖昧なままでは、どんなに高価なツールもその真価を発揮できないどころか、かえって業務を複雑にしてしまいます。
私たちが大切にしているのは、デジタル化の「前」にある、業務ロジックの整理です。
どの業務においても、物事が動く「理屈」の解像度を極限まで高めること。それができれば、デジタル化の成功はもう目の前です。
1. なぜ「解像度」が低いとデジタル化は失敗するのか
デジタル化における「解像度が低い」とは、業務が「個人の勘」や「なんとなくの慣習」で動いている状態を指します。
- 解像度が低い状態
「いい感じに書類をチェックして、問題なければ進める」 - 解像度が高い状態
「A項目とB項目が一致し、かつCのフラグが立っている場合のみ、次工程へ移る」
システムは「いい感じに」という指示を理解できません。
ロジックが曖昧なままツールを導入すると、システム化できない例外業務が大量に発生し、結局「システムの外側で人間が頑張る」という本末転倒な状況が生まれてしまいます。
2. 各業務における「ロジック整理」の具体例
あらゆるバックオフィス業務において、ロジックを紐解くプロセスは共通しています。代表的な業務を例に、どのような解像度が求められるのかを見ていきましょう。
① 経理・財務業務:数字の「正体」を定義する
経理業務のデジタル化は、単に紙をデータ化することではありません。
- ターゲットキーワード
経費精算、仕訳、インボイス制度対応、月次決算、振込データ作成 - 解像度を高めるポイント
- 判断のロジック
その支出は「消耗品費」なのか「事務用品費」なのか。誰が判断しても同じ結果になるフロー図はあるか。 - 承認のロジック
「金額による承認者の分岐」は明確か。例外的な特急振込の条件は言語化されているか。
- 判断のロジック
- 狙える未来
ロジックが整理されれば、AIによる自動仕訳や、銀行APIとの連携による振込自動化がスムーズに回り出します。
② 人事・労務業務:人の「動き」をフロー化する
感情や個別の事情が入り込みやすい人事労務こそ、冷徹なまでのロジック整理が必要です。
- ターゲットキーワード
入社手続き、勤怠管理、年末調整、社会保険手続き、福利厚生 - 解像度を高めるポイント:
- 情報のロジック
入社時に必要な情報は何か。それはどのタイミングで誰から回収し、どの台帳に転記されるのか。 - 時間のロジック
残業代の計算において、端数処理のルール(切り捨て・切り上げ)は就業規則と完全に一致しているか。
- 情報のロジック
- 狙える未来
解像度が高まれば、入社手続きのペーパーレス化や、勤怠データと給与計算のシームレスな自動連携が実現します。
③ 法務・総務業務:リスクの「分岐」を整理する
形骸化しやすいルーチン業務こそ、デジタル化による恩恵が大きくなります。
- ターゲットキーワード
契約書管理、電子契約、備品管理、社内規程、稟議フロー - 解像度を高めるポイント
- 管理のロジック
契約書の更新期限は「いつ」「誰に」通知すべきか。解約の意思表示期限から逆算したスケジュールは組まれているか。 - 在庫のロジック
備品の発注タイミングは「在庫が残りいくつになった時」か。発注先は価格優先か、納期優先か。
- 管理のロジック
- 狙える未来
電子契約によるハンコ出社の廃止や、クラウド在庫管理による備品発注の自動化が可能になります。
④ 営業事務・CS業務:顧客との「約束」を構造化する
フロントオフィスとバックオフィスを繋ぐこの業務は、最もロジックが複雑になりがちです。
- ターゲットキーワード
受注管理、見積作成、在庫確認、問い合わせ対応、CRM連携 - 解像度を高めるポイント
- 優先順位のロジック
複数の注文が重なった時、どの顧客を優先して在庫を割り当てるか。 - 対応のロジック
問い合わせの一次回答は、どのような条件であればチャットボットに任せられるか。
- 優先順位のロジック
- 狙える未来
SFAと受注システムの自動同期により、入力ミスをゼロにし、売上予測のリアルタイム可視化を狙えます。
3. ロジック整理を進めるための「3つのステップ」
「うしろぽっけ」が推奨する、業務の解像度を上げるための具体的な手順です。
- 「現状(AS-IS)」をすべて書き出す
「いつもこうしている」という慣習を、一つ残らず言語化します。例外パターン(「〇〇さんの時だけは特別」など)も隠さず洗い出すのがポイントです。 - 「判断の分岐点」を特定する
業務の中で、人間が「考えて判断している場所」を見つけます。その判断を「もしAならB、そうでなければC」という条件式に変換できるか試みます。 - 「理想(TO-BE)」のデータフローを描く
ツールを使うことを前提に、最も無駄のない情報の流れを再構築します。ここで「ツールに合わせて業務を変える」勇気を持つことが、解像度を一段引き上げます。
4. 人間にしかできない「整理」という価値
デジタル化が進めば進むほど、「ロジックを組む」という人間の仕事の価値は高まります。
ツールの設定ボタンを押すのは最後です。
その前に、複雑に絡まった業務の糸を一本ずつ解き、誰にでも見える形に並べ直す。
この「地味で丁寧な整理」こそが、組織の筋肉を強くし、変化に強い土台を作ります。
もし、あなたのチームで「デジタル化を進めたいけれど、何から手をつけていいか分からない」と感じているなら、それはまだ業務の解像度が上がる余地があるということです。
足元を整えてその先へ
「うしろぽっけ」は、派手なシステム導入を煽ることはしません。
まずはあなたの後ろ側に立ち、一緒に足元を見つめ、業務の理屈を整理することから始めます。
目の前の業務ロジックを、自分の言葉で説明できるレベルまで解像度を上げる。
その準備ができたとき、デジタル化は単なる「効率化」を超えて、あなたのビジネスを次のステージへ運ぶ強力なエンジンへと変わるはずです。
業務の「解像度」を
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派手なシステム提案はいたしません。
まずはあなたの足元にある
業務の「理屈」を丁寧に
紐解くことから始めます。
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