「選ぶ側」だと思っていました。
キラキラした「会社の顔」の裏側
就活生の頃、面接官は輝いて見えました。
会社の未来を語り、人を見抜き、合否を決める権限を持つ「ゲートキーパー」
「私もあんな風に、人と企業を繋ぐ架け橋になりたい」。そんな憧れを抱いて人事(採用担当)になった人が、配属初日に突きつけられる現実があります。
それは、「人事は『選ぶ側』ではなく、誰よりも必死に『選ばれるために頭を下げる側』である」という逆転の事実です。
ホワイトカラーの皮を被った「ドブ板営業」
オフィスのデスクで優雅に履歴書をチェックする……そんな時間は業務のほんの一部です。
実態は、ターゲットとなる候補者にスカウトメールを送り続け(無視され)、エージェントに電話で頭を下げ、辞退しようとする内定者をカフェで必死に説得する。
やっていることは、商品を「会社」という形のないものに置き換えただけの、極めて難易度の高い「無形商材の営業」です。しかも、その商品は「入社したらブラックだった」とクレームが入る可能性があり、顧客(候補者)は「当日バックレ」をする可能性がある。
この記事では、華やかなイメージの下に隠された、採用担当者の「採用ギャップ」と、数字と人間に挟まれてすり減る現場のリアルを解剖します。
1. 【業務のギャップ】無理ゲーを強いられる「ユニコーン狩り」
経営陣からの「矛盾したオーダー」
採用担当の最初にして最大の敵は、実は社内にいます。現場や経営陣からのオーダーです。
- 現場
「即戦力で、コミュ力が高くて、若くて、残業も厭わないエンジニアが欲しい」 - 経営
「**予算は年収400万で」 - 人事
「……(そんな人材、市場にいません)」
この「存在しないユニコーン(幻獣)」を探してこいと命じられ、連れてこれなければ「人事の力不足」と詰められる。市場価値と提示年収のギャップを埋めるのは、人事の「熱意」や「口説き」という名のマンパワーのみ。これが採用担当の日常です。
終わらない「ストーカー業務」
「スカウトを送っても返信率1%」の世界で、人事は候補者を追いかけ回します。
日程調整のメールを送り、返信がなければ電話をし、SNSを探る。まるでストーカーのような行為を「ダイレクトリクルーティング」という横文字で正当化し、心を麻痺させながら数を打つ。
面接という華やかなステージに立つために、その裏で99回の無視と拒絶に耐え続ける。この「泥臭さ」こそが、求人票には決して書かれない業務の実態です。
2. 【精神のギャップ】全方位からの「サンドバッグ」状態
「入社後の早期退職」は全責任を負う
営業職なら、商品を売ってしまえば(ある程度は)ゴールです。しかし、人事は「入社」がスタートです。
苦労して採用した人材が、現場と合わずに3ヶ月で辞めてしまった時、その非難の矛先はすべて人事に向けられます。
- 現場から
「変な奴を連れてくるな。現場の負担が増えた」 - 経営から
「採用コスト(紹介料数百万円)をドブに捨てたのか」 - 退職者から
「聞いていた話と違う(お前が嘘をついた)」
自分は現場のマネジメントに関与できないにも関わらず、他人のマネジメント不全の責任まで負わされる。この「権限はないのに責任だけがある」構造が、人事のメンタルを確実に削っていきます。
笑顔の仮面が剥がれない
「会社の顔」である以上、人事は常にポジティブで、自社を愛している「設定」でなければなりません。
たとえ社内の人間関係がドロドロでも、給与に不満があっても、候補者の前では「うちは風通しの良い、素晴らしい会社です!」と目を輝かせて語らなければならない。
この強烈な認知的不協和(本音と建前の乖離)は、一種の洗脳に近いストレスを生みます。
【「会社の顔」疲れチェック】
あなたが候補者に語っている「会社の魅力」は、本心ですか? それとも台本ですか?
もし、プライベートでも「良い人」を演じる癖が抜けないなら、あなたは「職業病としてのピエロ」になっているかもしれません。
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3. 【キャリアのギャップ】「潰しが効く」ようで「行き止まり」
他流試合を知らない「井の中の蛙」
「採用のプロ」としてキャリアを積んでいるつもりでも、実は「自社の採用基準に詳しいだけの人」になりがちです。
会社が変われば、採用基準も、使う媒体も、魅力の伝え方も全く異なります。「前職ではこれで成功した」というノウハウが、他社では全く通用しないことが往々にしてあります。
AIとエージェントに仕事を奪われる恐怖
日程調整はツールがやり、母集団形成はAIがやり、クロージングは現場のエース社員が出てきて行う。
「あれ? 私の仕事、ただの連絡係(リエゾン)じゃない?」
ふと気づいた時、手に職がついている実感が湧かない。
「人をジャッジする」という権力ごっこに酔いしれている間に、自分自身の市場価値が「ジャッジされる側」として危うくなっていることに気づく瞬間。それが人事のキャリアにおける最大の恐怖です。
4. 【生存戦略】「面接官」という鎧を脱いで
この過酷なサンドイッチ地獄で生き残るためには、意識の転換が必要です。
「審査員」ではなく「マーケター」になれ
「選んでやる」という上から目線を捨て、「どうすればこの市場で自社が選ばれるか」を分析するマーケターとしての視点を持つこと。
無理なオーダーを出す経営陣に対し、「市場データ」という武器を持って「その年収では採用できません」と対等に交渉するコンサルタントとしての立ち位置を確立すること。
これができれば、人事は単なる「調整役」から「経営のパートナー」へと進化できます。
プロこそ、自分の姿を鏡で見ろ
そして何より大切なのは、「メタ認知」です。
あなたは毎日、候補者の「話し方」や「表情」を厳しくチェックしているはずです。では、あなた自身は、候補者からどう見えているか、チェックしたことはありますか?
「疲れた顔で『アットホームです』と言っていないか?」
「目が笑っていない笑顔で『やりがいがあります』と言っていないか?」
候補者は、あなたのその「嘘」を敏感に見抜いています。内定辞退の理由の多くは、実は条件ではなく「面接官(あなた)に違和感を感じたから」なのです。
【面接官のための「逆」面接練習 Reflect(リフレクト)】
うしろぽっけの「Reflect」は、就活生のためだけのツールではありません。
むしろ、「自分の表情や話し方の癖」に無自覚になりがちな採用担当者こそ、使うべきツールです。
自分が会社の説明をしている姿を録画してみてください。
客観的に見て、「この人の下で働きたい」と思えますか? もし「うわ、胡散臭いな…」と感じたら、それが今のあなたのリアルです。
プロとして、自分のパフォーマンスをチューニングするために使ってください。
👉 登録不要・完全無料の面接練習ツール「Reflect」を使ってみる
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人を幸せにする前に、自分が幸せであれ
「人の人生を決める」という重圧に押しつぶされそうな時は、思い出してください。
あなたは神様でも裁判官でもありません。ただの会社員です。
もし、どうしても「人を騙して連れてくる」ような感覚が拭えないなら、それはあなたが悪いのではなく、商品(会社)か、あるいは職種そのものが合っていないのかもしれません。
人をジャッジする前に、まずは自分自身を、優しく正しくジャッジしてあげてください。
【あなたの適正を再審理する】
人の適性ばかり見ているあなたへ。自分の適性診断、最後にやったのはいつですか?
「採用」という激務から離れ、別のバックオフィス業務や、全く違う道が向いている可能性も、大いにあります。
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