​「可愛い」のに文章が頭に入ってこない。Webフォントの迷宮で見つけた、読みやすさと個性の着地点。

​自分の書いた文章を、スマホの画面で何度も読み返しては、指を止めてしまう。

そんな時間が数日間続いていました。

​サイトを立ち上げる際、私が選んだのは手書きの温もりが残る、とても愛らしいフォントでした。一文字ずつ眺めれば、それは理想的な「うしろぽっけ」の雰囲気。けれど、バックオフィス業務の効率化や、ツールの使い方を解説する長文を流し読みしようとすると、なぜか視線が滑ってしまうのです。

​一文字の形に目が奪われて、文章という「塊」が頭の中に沈んでいかない。

デザインの個性が、伝えるべき情報の邪魔をしている。

​この「小さな違和感」を放置することは、実務を支える場所として、あってはならないことだと感じました。

​デザインの正解は「読ませない」ことではなく「届ける」こと

​「うしろぽっけ」が向き合っているのは、日々のデスクワークで少しだけ一息つきたい人や、煩雑な業務をスマートに片付けたいと考えている人たちです。

​そんな方々が訪れる場所で、フォントの個性が強すぎて目が疲れてしまうのは、本末転倒です。かといって、OS標準の無機質なゴシック体では、私たちが大切にしている「隣に寄り添うような温度感」が消えてしまいます。

​「信頼できる実務感」と「親しみやすさ」。

この相反する要素を両立させるために、私はWebフォントの海に潜り、ひたすら検証を繰り返しました。

​そんな中、2026年1月、運命的なタイミングで一つの選択肢が目の前に現れました。

先日、Google Fontsに新しく追加されたばかりの「LINE Seed JP」です。

​信頼を損なわない「丸み」の正体

​バックオフィス業務の解説やツールの操作説明には、情報の正確さが欠かせません。

あまりに崩れたフォントでは「本当にこのツールの計算結果を信じていいのか?」という不安を無意識に与えてしまいます。

​LINE Seed JPが優れているのは、その「骨格」の正しさです。

文字のベースは幾何学的なモダンゴシックでありながら、角の先端だけがほんの少し丸みを帯びている。この微細な調整が、事務的な冷たさを取り除き、相談しやすい「人の気配」を画面にもたらしてくれます。

​「カチッとしているのに、話しかけやすい」。

それは、私たちが理想とするバックオフィス担当者の姿そのものでした。

​読み手のストレスを削ぎ落とす「CSS」の微調整

​どんなに優れたフォントでも、ただ導入しただけでは「読みやすさ」は完成しません。特に、実務に役立てようと真剣に文章を追ってくれる読者の目を疲れさせないために、以下のCSS設定で文字の「呼吸」を整えました。

​もし、ご自身のサイトでも「文字が詰まっていて読みにくい」と感じる場合は、この数値を参考にしてみてください。

/* Google FontsからLINE Seed JPを読み込む */
@import url('https://fonts.googleapis.com/css2?family=LINE+Seed+JP:wght@400;700&display=swap');

body {
  /* フォントの指定 */
  font-family: 'LINE Seed JP', sans-serif;

  /* 行間:1.7〜1.8が「塊」として認識しやすい黄金比 */
  line-height: 1.8;

  /* 文字間:わずかに広げることで、スマホでの誤読を防ぐ */
  letter-spacing: 0.04em;

  /* 色:真っ黒を避け、コントラストを和らげる */
  color: #333333;

  /* アンチエイリアス:
     macOSやiOSで文字の輪郭をより滑らかに見せ、
     長文読解時のチラつきを抑えるための記述
  */
  -webkit-font-smoothing: antialiased;
}

特にこだわったのは、行間(line-height)の設定です。

標準設定のままだと、特に漢字が続く文章では上下の行が重なって見え、脳が文字を識別するのに余計なエネルギーを使ってしまいます。1.8という数値は、ゆったりとしているようでいて、次の行へ視線を移す際に迷わない、実務的な快適さを追求した結果です。

​また、文字色を #000000(純粋な黒)ではなく #333333(深いグレー)にしたことで、白い背景との強いコントラストを抑え、液晶画面を長時間見続けるユーザーの視覚的な負担を軽減しています。

​「読みやすさ」という名の、目に見えないおもてなし

​バックオフィス業務の解説記事において、最も避けなければならないのは、読者に「読む努力」を強いることです。

​日々の業務に追われ、一分一秒を惜しんで解決策を探している人にとって、読みにくいフォントはそれだけで高いハードルになります。文字を「解読」することに脳のリソースを使わせてしまっては、肝心の内容が届きません。

​LINE Seed JPに変えてから、私自身の執筆スタイルにも変化がありました。

以前よりも、文章の「リズム」を意識するようになったのです。

​このフォントは、日本語特有のひらがな、カタカナ、そして複雑な漢字が混ざり合っても、画面の上で等間隔に、心地よい密度で並んでくれます。この「整列の美しさ」があるからこそ、あえて難しい言葉を使わず、素直な言葉で実務のヒントを綴ることができるようになりました。

​ツールとしての「うしろぽっけ」が目指す場所

​私のサイト「うしろぽっけ」は、バックオフィス業務を支援するツールを提供しています。

ツールのUI(ユーザーインターフェース)において、フォントは単なる飾りではなく、ユーザーとの対話そのものです。

​たとえば、メインカラーとして採用している爽やかな水色。この色とLINE Seed JPが組み合わさることで、清潔感がありながらも、どこかほっとするような、安心感のある場所を作りたいと考えています。

​「すごい」と思わせるような派手な機能よりも、毎日使っても目が疲れず、使うたびに少しだけ気持ちが軽くなる。そんな「道具としての誠実さ」を、まずは文字という一番小さな単位から積み上げていきたかったのです。

​届けるための試行錯誤はこれからも続きます。

​フォントを選び直し、CSSの数値を1ピクセル単位で微調整する。

それは、サイトを運営する側からすれば、小さな、あるいは自己満足に近いこだわりかもしれません。

​しかし、その小さなこだわりこそが、画面の向こう側にいる「人間」を感じさせる唯一の手段だと私は信じています。

​「可愛い」だけでは終わらせない。「読みやすい」だけでも足りない。

実務を支えるという責任感を持ちつつ、どこか隣に寄り添っているような温もりを。

​新しくなったこのフォントと共に、私はこれからも、皆さんの「うしろぽっけ」にそっと忍ばせておけるような、役立つツールと情報を紡いでいこうと思います。

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