「相談待ち」で現場が腐る。管理者のカレンダーが埋まっているほどプロジェクトの生産性が「破産」する理由

プロジェクトの現場で、こんな光景を目にしたことはないでしょうか。

管理者のカレンダーが朝から晩まで、15分刻みの色とりどりの予定で埋め尽くされている。本人は「今日も目が回るほど忙しい」と充実感に浸っているかもしれません。しかし、その時、現場の生産性は音を立てて「破産」へと向かっています。

​管理者が忙しすぎるプロジェクトは、例外なく停滞します。それも、単に進捗が遅れるといった生ぬるい話ではありません。現場で働く人間たちの「やる気」と「思考」が、腐敗していくのです。

​「空き時間」のないリーダーは渋滞の先頭である

​管理者の仕事の本質は、自ら作業をすることではなく、現場で起きる「詰まり」を解消し、次の一歩を踏み出させるための「意思決定」にあります。

​ところが、その意思決定者が会議のハシゴで捕まらない。5分で済むはずの確認に「3日後の調整」が必要になる。この瞬間、管理者はプロジェクトの推進者ではなく、「巨大なストッパー(止める人)」へと成り下がります。

​プロジェクトというエンジンを回すオイルである「判断」が供給されない。結果、エンジンは焼き付き、現場は立ち往生を余儀なくされます。

​現場で起きている「だらだら作業」という静かな地獄

​私が現場で見てきた最も残酷な真実は、作業者が「やる気がないからサボっている」のではなく、「上司の都合に合わせて、わざとゆっくり働かざるを得ない」という現実です。

  • ​「午前中に終わった仕事だが、リーダーの確認がもらえるのは明日の夕方だ。それまで、何をして時間を潰そうか……」
  • ​「今すぐ判断が欲しいけれど、上司は今日も会議で不在。とりあえず、資料のフォントやレイアウトをいじって『仕事をしているフリ』を続けよう」

​これが、巷で語られる「生産性向上」の裏側で起きている泥臭い真実です。

定時までに終わるはずの仕事が、管理者のスケジュールに合わせて引き延ばされる。この「待ち時間」を埋めるための無駄な作業に、膨大な人件費と、何よりメンバーの尊厳が費やされています。

​管理者は「暇」であらねばならない

​「管理者は暇そうに椅子に座っているのが理想である」。

これは決してふざけているわけではありません。メンバーが「困った」と声を上げた瞬間に、即座に「よし、こうしよう」と道を開ける。そのための「余白」を持っていない管理者は、もはやその役割を放棄しているのと同じです。

​管理者が忙しさを自慢し、現場がその「おこぼれの時間」を奪い合う。そんな歪んだ構造が、いかにプロジェクトの生産性を根本から破壊(破産)させていくのか。

​綺麗事抜きの現場体験をもとに、管理者が「暇」であることの圧倒的な正義を説いていきます。

目次

​1. 「忙しい上司」という名の巨大なストッパー

​GoogleカレンダーやOutlookを開いたとき、上司の予定が朝から晩まで隙間なく色付けされているのを見て、絶望したことはないでしょうか。「あ、今日はもう話しかける隙がないな」と、そっとブラウザを閉じる。この何気ない瞬間に、プロジェクトの死は始まっています。

​多くの管理者は、自分のカレンダーが埋まっていることを「必要とされている証」だと勘違いしています。しかし、現場から見れば、それは単なる「越えられない壁」でしかありません。

​「15分」が取れないせいで、チームの「3日」が消える

​現場で起きる問題の多くは、実は5分から15分程度の相談で解決するものです。

「この方向性で合っていますか?」「A案とB案、どちらで進めますか?」

このわずかな確認が取れないせいで、作業者は丸一日、あるいは週末を挟んで三日間、手を止めることになります。

​管理者が「今は忙しいから後にしてくれ」と一言放つたびに、チーム全体の工数がドブに捨てられているのです。一人の「15分」の不足が、十人の「数日間」を奪う。この非対称なコスト感覚の欠如こそが、プロジェクトを破産させる元凶です。

​「渋滞の先頭」に立つ自覚はあるか

​道路が渋滞しているとき、その原因は必ず先頭にあります。プロジェクトにおける渋滞の先頭は、決まって「忙しすぎる管理者」です。

どれほど現場の作業者が優秀で、高速でタスクをこなしたとしても、最終的な「判断」という出口が詰まっていれば、全体の流速は上がりません。

​管理者が会議をハシゴして悦に浸っている間、その後ろには「判断待ち」という名の長い行列ができています。この列に並ばされているメンバーの虚無感を、忙しい上司は想像したことがあるでしょうか。

​2. 作業者の「時間調整」という名の沈黙のストライキ

​ここが、この記事で最も残酷で、かつ「公然の秘密」とされている部分です。

管理者の予定が詰まっているとき、作業者は決して「何もせずに待っている」わけではありません。彼らは、「管理者とのミーティング時間に合わせて、わざとゆっくり作業をする」という、極めて非効率な時間調整を始めます。

​これは怠慢ではありません。そうせざるを得ない、現場の悲しい生存戦略なのです。

​「仕事をしているフリ」に費やされる膨大な人件費

​例えば、午前中に資料が完成したとします。しかし、上司の確認がもらえるのは明日の16時です。

そのとき、正直に「終わりました」と言っても、次の指示(判断)がもらえない以上、作業者は手持ち無沙汰になります。下手に早く終わらせて「じゃあこれもやって」と別の雑用を振られるのを嫌い、あるいは「暇そうだ」と思われるのを恐れて、彼らは「終わっている仕事を、終わっていないように見せる」技術を磨き始めます。

  • ​既に固まっているレイアウトを、何度も微調整する
  • ​誰も気にしないような文言の言い回しを、1時間かけて悩み直す
  • ​検索すればすぐに分かることを、時間をかけて調査しているふりをする

​この、生産性のかけらもない時間に支払われている給与こそが、プロジェクトの「隠れた赤字」です。

​働く誇りを奪う「待ち」の時間

​人間にとって、最も苦痛なのは「無意味な時間を過ごすこと」です。

本来ならさっさと仕事を終えて、新しい課題に取り組みたい、あるいは定時で帰って家族と過ごしたい。そう願っている誠実な作業者ほど、この「上司の空き時間を待つための時間調整」に心を削られます。

​「自分は何のために、こんな無駄な修正を繰り返しているんだろう」

「上司が捕まらないせいで、自分の人生の大切な時間が溶けていく」

​この絶望感が積み重なったとき、現場は「腐り」ます。「どうせ早くやっても待たされるだけだ」「適当に時間を潰して、上司の予定に合わせて動けばいい」。そんな冷めた空気が蔓延したチームに、高いパフォーマンスを期待すること自体が間違いなのです。

​3. 「生産性が破産する」メカニズム:待ち時間のコスト計算

​「たかが数時間、返信を待たせているだけだ」

「忙しいんだから、少しくらい待つのは当たり前だろう」

​そんな甘い考えを持っている管理者の皆さんに、現実を突きつけます。あなたが止めているその「数時間」は、単なる時計の針の動きではありません。プロジェクトの財布から現金を直接ドブに捨て、メンバーのやる気を少しずつ削りっている、非常に高くつく「負債」です。

​なぜこれが「破産」を招くのか。その生々しいコストの正体を暴きます。

​3-1. 目に見えない「待機料」という名の現金流出

​例えば、年収600万円のメンバーが5人いるチームを想像してください。彼らの時給を単純計算で約3,000円とします。

管理者のあなたが会議で捕まらず、5人の手が2時間止まった(あるいはダラダラ作業で時間を潰した)としましょう。

3,000円 × 5人 × 2時間 = 30,000円

​この2時間だけで、3万円の現金が消えました。これが毎日続けば、一ヶ月で60万円。一年で720万人件費が「何も生み出さない時間」に支払われることになります。

​しかし、本当の恐怖はここから。彼らがその2時間で生み出すはずだった「価値(売上や成果)」も失われています。人件費という支出に加え、本来得られるはずだった利益という収入も消える。このダブルパンチが、プロジェクトの健全性をじわじわと、しかし確実に破壊していきます。

​3-2. 「思考の慣性」が途切れることの損失

​人間は機械ではありません。スイッチ一つで最高速度になれるわけではないのです。

集中して作業に没頭しているとき、一番効率が良い状態(ゾーン)にあります。しかし、「上司の判断待ち」でその集中がプツリと切れると、再び同じ熱量で作業に戻るには膨大なエネルギーを必要とします。

​一度冷めたスープを温め直すのに時間がかかるのと同じです。

「待ち」が発生するたびに、チーム全体の「思考の熱量」は奪われていきます。この「再起動コスト」まで含めると、失われている時間は表面上の数字の数倍に膨れ上がります。

​3-3. 「判断の鮮度」が落ち、リカバリ不能になる

​プロジェクトは生ものです。現場で起きた小さな違和感やトラブルは、その瞬間に処置すればボヤで済みます。しかし、「管理者の相談待ち」で放置されたボヤは、数日経てば手の付けられない大火事へと成長します。

​管理者が忙しさを理由に判断を先送りにすることは、「利息の高い借金を放置すること」と同義です。

あとで慌てて火消しに走る管理者の人件費、現場の残業代、クライアントへの謝罪コスト。これらをすべて合算したとき、そのプロジェクトはもはや「黒字」ではいられなくなります。これこそが、私が「生産性の破産」と呼ぶ状態の正体です。

​4. 管理者の本分は「作業」ではなく「道を開けること」

​ここまで読んできて、「じゃあ管理者は何をすればいいんだ。自分だって自分のタスクがあるんだ」と反論したくなる人もいるでしょう。

​はっきり言います。管理者が「自分のタスク」で手一杯になっている時点で、それは管理職としての職務放棄です。

​管理者の価値は、自分がExcelを叩くことでも、綺麗な資料を作ることでもありません。現場の人間が迷いなく、全速力で走れるように、目の前の障害物(不明点、リソース不足、他部署との調整)をどかし、「道を開けること」にこそあります。

​現場は「スーパーマン」を求めていない

​現場のメンバーが求めているのは、自分たちより仕事ができるスーパーマンの上司ではありません。「困った時にすぐ捕まり、どっちに進むべきか決めてくれる人」です。

​「いつでも話しかけていいよ」という空気を作り、実際に話しかけられたら即座に判断を下す。この「アベイラビリティ(捕まりやすさ)」こそが、管理者に求められる最強のスキルです。

​あなたが必死に実務(プレイング)をこなして「忙しい、忙しい」と走り回っている間、後ろにいるメンバーはあなたの背中を見て「この人に相談したら邪魔になるな」と遠慮しています。その遠慮が、プロジェクトに致命的な遅延をもたらすのです。

​5. PMOが提唱する『戦略的・暇』の作り方

​「管理者は暇であれ」と言われても、明日から急に予定を白紙にできるほど現場は甘くありません。放っておけば、勝手に会議が入り、勝手にトラブルが舞い込み、気づけばまた「カレンダーの塗り絵」が始まります。

​管理者が「正しい暇」を手に入れるためには、意志を持って環境を作り変える必要があります。PMOが現場で実践している、泥臭い「余裕の作り方」を伝授します。

​5-1. 「自分でやった方が早い」という麻薬を断つ

​管理者が忙しくなる最大の原因は、実務(作業)への未練です。「自分がやった方が質が高い」「説明するより自分で書いた方が早い」。この考えは、一見責任感が強いように見えますが、プロジェクト管理においては「猛毒」です。

​あなたがExcelを叩いているその1時間のせいで、チームの5人が判断を待って足止めされているなら、そのExcelは「世界一高くつく資料」になります。「作業者としての自分」をなくし、「判断者としての自分」を徹底する。 この覚悟がない限り、一生暇にはなれません。

​5-2. 事務的な「ノイズ」をすべてPMOへ放り込む

​管理者の時間を奪うのは、意外と「中身のない調整」です。

  • ​会議の日程調整のメールラリー
  • ​進捗報告書の体裁を整える作業
  • ​誰が持っているか分からない資料の捜索

​これらは重要ですが、管理者がやるべき「意思決定」ではありません。こうした事務的なノイズ(目詰まりの原因)を、PMOや事務局という「外部装置」へ徹底的にアウトソーシングする。 PMOは単なる資料作成係ではありません。管理者の脳から雑念を追い出し、「決断すること」だけに集中できる環境を作るための「防波堤」なのです。

​5-3. 「いつでも捕まる」という状態をスケジュール化する

​「暇」を作るのが怖ければ、あえてカレンダーに「何もしない時間(相談受付時間)」を確保してください。

会議で埋めるのではなく、「この時間はデスクにいるから、予約なしで誰でも話しかけていい」と宣言するのです。

​一見効率が悪そうに見えますが、これが実は最強のスピードアップ術です。

数日後の会議を待たず、その場で「よし、A案で行こう」と決まる。この5分の相談が、現場の「ダラダラ作業」を数日分カットします。管理者が暇そうに椅子に座っていることは、現場にとって「高速道路のゲートが常に開いている」のと同じ安心感を与えるのです。

​6. まとめ:あなたの「余裕」がプロジェクトを加速させる

​プロジェクトマネジメントの教科書には「効率的な計画の立て方」は載っていますが、「管理者の休み方」は載っていません。しかし、現場を動かしているのは人間です。

​管理者が余裕をなくし、眉間にシワを寄せて走り回っているチームが、高いパフォーマンスを出せるはずがありません。そんなチームのメンバーは、上司の顔色を伺い、相談を躊躇し、空いた時間を潰すために不毛な作業に没頭していきます。これこそが、本記事で再三警告してきた「生産性の破産」です。

​「暇であること」への罪悪感を捨てろ

​もしあなたが今、「自分だけ暇そうにしているのは申し訳ない」と感じているなら、その考えを今すぐ捨ててください。

あなたの「暇」は、チームが全速力で走るための「滑走路」です。 滑走路が荷物で埋まっていては、飛行機は飛び立てません。

​管理者がどっしりと構え、現場の「困った」に即座に応える。

その余裕があるからこそ、現場は「早く終わらせて次の相談に行こう」という健全なリズムを取り戻します。だらだら作業は消え、プロジェクトには活気ある血流が戻ります。

​最後に:一歩踏み出す勇気を

​忙しさを美徳とする文化を変えるのは、勇気がいります。

でも、誰かがその鎖を断ち切らなければ、現場は腐り続けるだけです。

​「うしろぽっけ」は、あなたが「正しい暇」を手に入れるための強力な後ろ盾になります。

面倒な調整、溢れる事務、整理のつかないタスク——。それらを私たちが引き受けることで、あなたのカレンダーに「白い余白」を作ります。

​その余白こそが、プロジェクトを成功に導く、何よりも価値のある資産になるのです。

一人で抱え込まず、まずはその「忙しさの正体」を私たちに話してみませんか?

あなたの余裕が、チームを、そしてプロジェクトの未来を変える第一歩になります。

あなたのカレンダーに、
「決断のための余白」を
取り戻しませんか?

「忙しくて相談に乗れない」という状況は、あなたの責任感の強さゆえかもしれません。しかし、その忙しさが現場の「だらだら作業」を生み、プロジェクトを停滞させているのもまた事実です。

うしろぽっけは、管理者の時間を奪う事務的なノイズをすべて引き受け、あなたが「道を開ける仕事」に専念できる環境を整えます。まずは、今のパンパンなスケジュールの内訳を、私たちに吐き出すことから始めてみませんか?

「正しい暇」を作るための相談をする

※無理な提案はしません。
あなたの「余裕」を一緒に設計しましょう。

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